ECでは、使ってはいけない画像を使うと、購入率が下がる以上の損失になることがあります。DMCAによる削除、権利者からの訴訟、Amazon、Etsy、Shopifyでのアカウント停止につながりかねません。多くのセラーは、撮影費を払ったのだから写真は自分のものだと考えています。しかし著作権法の上では、その思い込みは間違っていることがよくあります。このガイドでは、商品画像の権利、ライセンス、モデルリリースとプロパティリリース、ストック画像のルール、AIで生成した背景について知っておくべきことと、費用のかかる法的なミスから身を守る方法を解説します。
商品写真の権利は誰のもの?依頼者とフォトグラファー
米国、EU、英国を含むほとんどの国・地域の著作権法では、オリジナルの作品を作った人が、原則としてその著作権者になります。つまり、撮影した瞬間から写真の著作権を持つのは、撮影を依頼したブランドではなくフォトグラファーです。書面の合意で明確に定めない限り、フォトグラファーに代金を払っても著作権は移転しません。
商品画像の権利をすべて得る正当な方法は2つあります。
- 職務著作(ワーク・フォー・ハイヤー)の契約:作成されたすべての画像が、作成された時点から依頼者の完全な所有物になることを定めた書面の契約です。ECブランドにとって最もすっきりした形です。必ず書面にする必要があり、口頭の合意ではほとんど身を守れません。フリーランスの場合、職務著作の条項は自動では適用されないため、明確に盛り込む必要があります。
- ライセンス契約:フォトグラファーが著作権を持ったまま、決められた条件のもとで画像を使う許可をあなたに与える契約です。許可の範囲は、交渉の内容によって大きく変わります。ポートフォリオの権利を手放さない実績のあるフォトグラファーと仕事をする場合によく見られます。
職務著作の契約も書面のライセンスもない場合、画像を使える法的な権利は、取引関係から暗黙に認められる範囲に限られることがあります。暗黙の権利は主張しにくく、争いになりやすいものです。
「すべての権利」と「限定ライセンス」の実際の違い
フォトグラファーがライセンスを提示する場合、その範囲が非常に重要です。撮影の前か、納品物を受け取る前に、必ず次の点を確認しましょう。
- すべての権利・無制限の商用ライセンス:どのチャネルでも、期限なく、どの国でも画像を使え、制限なく加工したりサブライセンスしたりできます。ほとんどのECブランドが目指すべき形です。
- 限定ライセンス:特定のプラットフォーム(例:Amazonのみ)、特定の期間(例:12か月)、特定の地域、特定の印刷部数に使用を制限します。元の撮影費を払っていても、ライセンスの範囲を超えて画像を使えば著作権侵害です。
- 独占性:非独占のライセンスでは、フォトグラファーは同じ画像を競合を含むほかの相手に販売・ライセンスできます。独占ライセンスならそれを防げますが、通常は費用が高くなります。
ライセンスの条件は書面でもらい、画像をどこかに公開する前に確認しましょう。「Web用のみ」のライセンスしか受けていないのに「すべての権利」だと思い込んでいたことから、多くのトラブルが起きています。
モデルリリース:必要な場合、対象となる範囲、ない場合に起きること
商品画像に、手、鏡に一部映った顔、商品を身につけたモデルなど、誰だかわかる人物が写っているなら、その画像を商用で使う前に、署名されたモデルリリースが必要です。
モデルリリースとは、本人が自分の肖像を商用で使うことを許可する法的な書類です。これがないと、写っている人は、パブリシティ権(米国)や人格権(EUと英国)の侵害を主張でき、差し止め、損害賠償、商品ページの削除につながることがあります。
- 必要な場合:広告、商品ページ、SNSの投稿、プレス資料など、誰だかわかる人物が写った画像を商用で使うすべての場合です。
- 含めるべき内容:商用での使用の範囲、モデルに支払った報酬、モデルが成人であることの確認(未成年の場合は保護者の同意)、モデルの署名です。
- ない場合に起きること:許可のない肖像の使用を理由にプラットフォームが権利の申し立てを受けると、あなたが申し立てを不当だと考えていても、商品ページは削除されることがあります。こうした争いの解決には費用も時間もかかります。
モデルの画像を制作するプロのレタッチスタジオは、当社のEC写真編集サービスのように、商用の画像を納品する前に、すべてのモデルリリースが揃っていることを確認できるべきです。
プロパティリリース:ロケ撮影と、わかる建物やアート
画像に、誰の物かわかる私有の物件、背景に見える商標のロゴやブランド表示、著作権の対象となる建築作品が写っている場合は、プロパティリリースが必要です。米国では、公共の場所から見える建物は一般に商用で撮影しても問題ありませんが、EUでは「パノラマの自由」の規定により、国によってルールが異なります。
レンタルスタジオ、レストラン、個人の住宅など、私有の物件でライフスタイルの商品撮影をする場合は、撮影を始める前に、商用撮影の許可を所有者に確認しましょう。後から許可を得るのは難しく、撮り直しの費用がかかることもあります。
商品の背景としてのストック画像:商用利用できるライセンス
編集で背景を差し替える(商品の元の背景をストックの風景に置き換える)場合、背景画像のライセンスも、商品写真のライセンスと同じくらい厳しく適用されます。主な入手先と、認められている使い方は次のとおりです。
- Getty ImagesとAdobe Stock:広告や商品ページでの使用を認める有料の商用ライセンスです。通常のデジタル広告を超える使い方(画像を使った商品の販売など)については、拡張ライセンスの条件を確認しましょう。
- ShutterstockとiStock:同様の商用ライセンスの仕組みです。サブスクリプションのプランは通常の商用利用をカバーし、印刷部数の無制限や放送での使用には拡張ライセンスが必要です。
- Unsplash:Unsplashライセンスのもと、商用を含めて無料で使えます。ただし画像は独占ではなく、同じ画像が競合の商品ページに使われていることもあります。また、Unsplashの写真の中にある第三者の要素(人物や商標の付いた物)には、Unsplashのライセンスがカバーしない別の権利があることがあります。商品の背景に使うときは注意しましょう。
- 商用ライセンスが明記されていない無料画像サイト:避けましょう。「無料で使える」と「商用で無料で使える」は同じではありません。商用利用が制限された画像を許可なく使えば、ファイルをどう入手したかに関係なく侵害になります。
AIで生成した背景:2026年時点の法的な位置づけ
AIで生成した画像の法的な位置づけは、今のところはっきりしていません。2026年時点で、米国著作権局の立場は、人による意味のある創作的な関与なしに作られた純粋なAI生成のコンテンツは、著作権の保護を受けられないというものです。EUのAI法と英国の著作権法も同様の方向に進んでいますが、具体的なルールは国・地域によって異なり、変わり続けています。
実際には、次のような意味になります。
- AIで生成した背景は、一般にライセンス料なしで商用利用できます。支払う相手となる権利者がいないからです。
- 主張できる著作権がないため、同じAI生成の画像を競合が使うのを防ぐことはできません。
- ストック画像や著作権のある学習データを取り込んだAIツールは、著作権のある要素を含んだ出力を生むことがあり、法的にはグレーゾーンです。使うAIツールの利用規約を確認しましょう。
- AIを使って商品画像にリアルな人物のモデルを加えると、生成された肖像が実在の人物に似ている場合、パブリシティ権の問題が生じます。申し立てを避けるため、明らかに架空とわかる肖像を使いましょう。
サプライヤーやメーカーの画像:そのまま使えない理由
ブランドの商品を再販するとき、メーカーのWebサイトやカタログの商品画像を使いたくなるかもしれません。メーカーが再販業者に画像の使用を明確に許可していない限り、それは著作権侵害です。メーカーは自社の商品写真の著作権を持っており、多くの大手ブランドは無断使用を積極的に監視しています。
Amazonでは、許可なくメーカーの画像を使うと、DMCAの通知で商品ページが削除されることがあり、繰り返せばアカウント停止のリスクがあります。Shopifyや独立したストアでは、民事の著作権の請求を受けるおそれがあります。サプライヤーから提供された画像を商品ページに使う前に、必ず画像の使用権を確認しましょう。
ECセラーにとってのDMCAによる削除のリスク
デジタルミレニアム著作権法(DMCA)は、権利者が侵害しているコンテンツを、速く低コストでプラットフォームから削除させる仕組みです。Amazon、Etsy、eBay、Shopifyはどれも、DMCAの削除要請にすばやく応じ、通常は先にコンテンツを削除して、争いは後で解決します。つまり、次のようなことが起こります。
- 有効なDMCAの通知が1件あれば、どれだけ長く販売していても、24〜48時間以内に商品ページが削除されることがあります。
- DMCAの通知が繰り返されると、アカウントが永久に停止されることがあります。
- 削除された商品ページを復活させるには異議申し立てが必要で、時間がかかり、元の申し立てが有効だった場合は成功しないこともあります。
DMCAのリスクを最も早く減らす方法は、商品ページのすべての画像が、(書面の合意で)完全に自社の所有物であるか、明確な商用ライセンスでカバーされているか、リリースを揃えたうえで自社のために作られたものであるかを確認することです。
実践的なチェックリスト:公開前に確認すること
商品ページに商品画像をアップロードする前に、次のすべてを確認しましょう。
- 画像について、署名された職務著作の契約か、書面の商用ライセンスがあるか?
- ライセンスは、公開するすべてのプラットフォームと地域をカバーしているか?
- 画像に写っている、誰だかわかるすべての人物の署名済みモデルリリースがあるか?
- 背景にある私有の場所、アート作品、商標の要素について、プロパティリリースがあるか?
- すべての背景画像が、地域や期間の制限なしに商用利用のライセンスを受けているか?
- AIで生成した要素がある場合、そのAIツールの商用利用に関する利用規約を確認したか?
- 書面の明確な許可なしに、サプライヤーやメーカーの画像を使っていないことを確認したか?
注:この記事は、商品画像の権利とライセンスに関する一般的な情報を提供するものであり、法的な助言ではありません。契約、侵害をめぐる争い、国・地域ごとのルールなど、個別の状況に関するご質問は、知的財産を専門とする弁護士にご相談ください。
プロのレタッチスタジオと仕事をすることは、商品画像を適切な権利を整えたうえで、きれいに制作するための最も効果的な方法の一つです。当社のEC写真編集サービスは、統一感のあるプロ品質のレタッチを施した商品画像を大量に納品し、画像を商品ページに公開する前に必要な書類についてもアドバイスできます。カタログ全体をご依頼いただく前に、5枚の無料トライアルで品質と進め方をご確認ください。

